鉄道模型 1旧客車

16番ゲージ・旧客車のリアリティー (2)

カプラー交換・インレタ・(余録)テールライト補修

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カ プ ラ ー 交 換

 KATO カプラーの交換 (スハ43、スハフ42の例)


KATO標準とIMON HO-101カプラーの大きさは画然としている
交換の手順
カプラーは、床板の長方形の穴にカプラーカバーの左右の爪を押し込んで止まっている。
薄いマイナスドライバーを床とカプラーボックスの隙間にねじ込んでカプラーBOX全体を外す。
 
 カプラーBOXの左右の爪が
 カプラーカバー左右の穴
 に入ってカバーが固定され
 ているので、BOXとカバー
 の側板にマイナスドライ
 バーを差し込みカバーを外
 す。
 カプラーが現れるのでバネ
 と一緒にカプラー支柱から
 カプラーを抜き取る(写真の
 右)。


 
 切り取った支柱跡にΦ1.5oの穴を開けるのにはピンバイスを使う
 と正確で確実な穴開けができる(上写真右)。
 IMONカプラーの後端穴の空いた部分はKATOのカプラーBOXに入ら
 ないのでカットする。
 幸いなことに、IMONカプラーBOXはそのままKATOのBOXにピッタリ
 収まる。
 ボルトをIMONカプラー穴に通して、更にKATOのBOXに新しく開けた
 穴に一杯に差し込んだら、左写真の裏側にボルトが突き抜ける。
 そのボルトにナットをねじ込む。

 IMONのボルトには各種長さがあるが、6o長が最適となる。
 ナットの締め付けが終わったら、カプラーカバーをカプラーBOXに
 元の状態に取り付けてカプラーの換装が完了する。
 この換装は比較的簡単にできた。
 完成の状況はカプラー交換の上掲IMONカプラー表裏を参照のこと。

TOMIX カプラーの交換
 スロフ62の例

 床にΦ2oのタップ穴(メスネジ)が切ってあり、KDカプラー#5 がΦ2oボルトで直づけされている(上写真左)。
 IMONカプラーの取付けには二方式がある。
 一つは、床のタップ穴の中心から前方2.5oの処にΦ1.4oのタップ穴を切る。そしてIMONカプラーをKD#5のように取り付ける。
 二つ目は、床のタップ穴の中心から前方2.5oの処にΦ1.5oの穴を開ける。ピンバイスで開けるのが確実。
      IMONに通したボルトをその穴に差し込み、床の車体側に出たボルトをΦ1.4oナットで締め付ける(左から二番目)か、
      床の車室側(上写真右)からボルトを通し床下側でナット締めしてもどちらでもよい。

 タップを立てればスッキリするが、ナット締めの方が連結の衝撃にも耐える力がある。
 この例が最も簡単なカプラー換装だった。

 オユ10の例

 KD#5カプラーが床板取付け用の床セットカバーの中に入っている。これはTOMIXの古いタイプなのだろうか。

 換装手順
 1.床と床セットカバーの間にマイナスドライバーを差し込んで、カプラー組を一式を取り出す(上写真左)。
 2.床セットカバーの爪の処とカラーポケット側面の間にマイナスドライバーを差し込み床セットカバーを外す(上写真二番目)。
 3.ポケットカバー上蓋と底部の爪の間にマイナスドライバーを差し込み底部を外す(上写真左から三番目)。
   ポケット上蓋と、それに付いているKDカプラーは不要なので除けておく。
 4.ポケット底部を元通り床セットカバーに付ける(上写真四番目下)。
 5.これにIMONカプラーを仮置きしてみると(上写真右から二番目の上)、IMONボルトの穴開け部分が生憎と床セットカバーと
   ポケット底部の段差の部分になってしまう(上写真右から二番目の中と下)。穴を開けるにしてもドリル刃は薄い方に逃げて
   しまい、例え穴が開いても、ナットが斜めになってしまい締め付けに不都合が生じる。
   段差は約1.5 oなので、1.2〜1.5oのプラ板を写真のように貼って段差を無くした。1.2oプラ板の場合は、床セットカバー
   の方が0.3o高いので。ナットが当たる外周の部分を円球ビットでさらってやればよい。
 6.段差の調整が終わったら、ポケット底部前縁とIMONカプラーポケット前縁とを合わせてプラ接着剤で接着する。
 7.接着乾燥を待って、Φ1.5oのドリル刃をピンバイスに咥えさせ、IMONのボルト穴に差し込んで一気に穴を開ける。
   IMONのボルトを穴に通し、底部に出てきたボルトにナットを廻し込んで締め付ければ完了する。
  
 換装後の状態を左に示した。
 白いプラ板にはつや消し黒を塗装する。

 既述したスロフ62の方式に比べてオユ
 10のカプラー方式は手数が掛かる。

 現行でも車種により二種類あるのか、
 全てスロフ62の方式に変更されたのかは
 不明。


4

 
イ ン レ タ ・ デ カ ー ル な ど

KATO のレタリングシート (HO スハ43 スハフ42 改装型ブルー レタリングシート)
 粗悪、最低の品質。文字品位、転写性、定着性は粗悪そのもの。
 
 
 構体・側への転写が不安定。
 転写専用ツールを使って慎重にこすっても、文字によっ
 て転写の度合いが違う。
 何とか転写した後、指定通りにベース紙で丹念になぞっ
 て定着させた筈だが、暫くすると文字や文字の一部が剥
 げ落ちてしまう。 
 中央下に貼る車種・車体番号(車番)は白丸が直ぐに剥落し、文字も部分的に剥落する。スハの「ハ」の右棒が直ぐに剥落する。
 特に酷いのは、KATO で印刷済みの定員表示の上に貼る小さな文字の車両所属区表示である(上の写真)。
 これは何度やり直しても駄目だった。細い小さな文字は絶望的である。精神衛生上よくない。
 ついに諦めて、車両所属表示はTOMIXのものを流用した(下写真の左)。その為に車番と所属区名が合わない。
 TOMIXのインレタは実に気持ちが良い。転写性、定着性、文字品位など全てに優れている。
 それと比較すると、KATOの文字にはキレ(鮮鋭さ)が無く定着もしないという最悪のレベルである。



 他社(インレタ品質の高いTOMIXなど)に、KATOの車種に合うインレタがあればそれを買うのだが、そうタイミング良く手に入るも
 のでもない。
 結局、インレタを定着させる為に、半光沢クリア塗料で構体の側の全面を塗装しなければならない羽目に追い込まれた。
 その気になればエァブラシ装置を使っての吹き付け作業は比較的簡単だが、ここで問題なのはプラ材の宿命である静電気による
 微細なゴミの付着である。家庭では、完全なクリァルームなど設けようもない。
 塗装前に注意して付着ゴミを除去するが、塗装中や乾燥中に微細ゴミが付着する可能性は極めて高い。
 コーティング塗料と一緒に着いたゴミは後から除去が難しく、その修正に大変な労力を強いられた。
 葡萄色、青色の濃い旧客車に付着したゴミは恐ろしく目立つし、修正に失敗すれば車両一台を破棄したくもなる。
 実際の作業でゴミの付着とその修正に随分手数を取られた。

 加えて、普通のゴミ以外に厄介なことがある。
 転写文字だけに糊がついている訳ではない。台紙にも少しの糊がついていて車体に糊が残る。
 このままコーティングすると車体についた糊がラッカー塗料の影響でチリチリに渦巻いたゴミとして付着する(上写真右)。
 このゴミが厄介なのは、文字に近接して発生することだ。
 従って、転写した後、文字以外に付着した糊は無水エタノール等を極細の綿棒につけて慎重に除去しておくことが必要。
 高価でもないインレタのコストをケチッて(粗悪なものを付けて)、完成構体にコーティング作業をさせるなど本末転倒も甚だしい。
 この問題はWebでも指摘されている。にも拘わらずKATOに改善の兆しはない。
 KATO は根本的にインレタを作り直すか、品質の高いインレタメーカーに仕入れを変更すべきである。難しい話しではない。
 KATO が「安かろう悪かろう」とマニアに敬遠される理由の一端が図らずもインレタに出ている。
 
 コーティングはエアブラシの噴出量を弱く(強くすれば文字が吹き飛びそうなので)して、3〜4回の重ね塗りをした。
 その結果が2段目写真の文字の剥落(写真中央)、歪み(写真右)である。
 苦労してコーティングしたのにこれで解決した訳ではなかった。
 コーティングをする時はキチンとしていた筈なのに・・・吹きつけ方がまずかったのかどうか、再度のやり直しとなった。
 文字を剥ぎ取るには、最初に爪楊枝で軽くこすってみる。取れるものはこの段階で呆気なく取れる。定着不良か、又はエァブラシ
 の吹き付けムラか・・・? 吹き付けムラは考え難い。
 それで取れない文字は無水エタノールを綿棒につけてこすり取る。
 こすった処は車体の地肌が出てコーティング部分と大きなむらになるが、新しいインレタを貼り付けて再び半光沢コーティングを
 するとこのムラは消えてしまうので恐れることはない。「半光沢」コートの大きな効用のひとつである。

 半光沢コーティングによって光の反射率が変わり、元の色調がくすんだ色調になった。
 光沢が強い工場ロールアウト状態の製品にある程度の経時を感じさせるウェザリング効果が出る結果となった。
 それは良いのだが、他の無コーティングのTOMIX車両と色調が大きく異なってしまったので、全部の車体をコーティングすること
 になった。床下と台車も含めて・・・・。
 筆者は極端なウェザリングを好まないので、この程度のウェザリングで止めている。
 
TOMIX のインレタ (HO スロフ62 レタリングシート)
 文字品位、転写性、定着性ともに非常に優れている。


 インレタ、号車札など多種のインレタ・デカールが附属する。これだと、構体をコーティングし直す必要がない。
 所属客車区名、定員などの微細な文字もシャープに再現している。

天賞堂の行き先札


台紙からサボシールを剥がさない。台紙ごとカットして使う

 急行「ニセコ」の行き先札(サボシール)を使ってみた。札が既にカットされているのは便利だが、ペラペラの材質だった。
 構体・側の行き先札貼付位置に歪みなく一発で張れる人は神業である。
 張る場所にシールの一部を軽く置いて、歪みや位置を微調整するのが普通と思われるが、ペラペラに薄い素材の割に粘着力が強い。
 歪みを調整する為に、札を少し浮かして張り直そうとすると直ぐに千切れてしまう。札の半分以上を駄目にした。
 しかも、表面がテカテカに光り、札も薄過ぎて全くリアリティーが無い。
 善後策として、台紙ごと切り抜いて車体にはトンボ鉛筆の水性糊で接着した。
 KATOの劣悪なインレタのお陰 ? か、半光沢クリアコートを車体全体に吹いたのがケガの巧妙で、札の異様なテカリが消えた。
 車体にクリアコートを吹かない場合は、最初に行き先シール全体に半光沢クリアコートを吹き、その後に台紙ごと切り抜けばよい。

6


余録・TOMIXのオユ10からみる問題点と企業姿勢

 このオユ10は、ヤフオクで偶然見つけた中古品である。
 車体外観は綺麗だったが、走行させると室内照明が揺らいだり、点滅を繰り返す状態だった。
 レールと車輪の清掃を行っても状況の改善が無く、そこで、上部構体を外してみた。


 照明ユニットシューの形状が現行平板シューと異なり渦巻きスプリングだった。これだと、床側シューと直線上につながり、床側
 シューに無理な力が働かない。照明ユニットもへの字に湾曲することもない。恐らく旧製品だと思われる。
 先ず驚いたのは、床側真鍮薄板シューの表面が酸化皮膜で覆われ、照明側シュー、及び床の左右にある通電板との接点にスパークと
 思われる黒い汚れが付着していた。水分を帯びる環境でもないのに酸化皮膜で汚れたシューの状況は理解し難いものだった。
 製造からどれ位の時間が経過しているのだろうか。
 床側シューを取り外し、スチールウールで磨き、接点復活剤で丹念に修復した。
 TOMIXの室内照明はDC12Vが限界(KATOは14Vまで許容)と説明にあるので、DC11Vで走行テストを行った。照明の揺らぎや点滅が少し改
 善されたものの、完全ではなかった。
 そうこうする内に、照明の半分とテールランプの一つが灯かなくなった。シューを通さずDC電源を照明に直接繋いでも点灯しないの
 でランプ切れと判った。

 この段階で、照明装置を現行の「Eセット0795 (電球色)」に換装した。
 先述したように、照明ユニットは「への字」に湾曲するので、中央を室内中央の隔壁に粘着テープで固定した。
 これは郵便車だから室内隔壁があり、外から見えないので可能だったが、客席車両だったら別の固定法を細工しなければならない。



 このとき、床側接点シューのL字に曲がった底部と床の通電板との接触不良も予想された。
 
 予想通り、シューの垂直部と底部のL字の角度は経年変化で90度(直角)近く
 に塑性変形していた。
 これでは床の通電プレートとの接触が不安定になるのは当然だった。 
 そこで、L字の底部をマイナスドライバーで引き起こし、シューの垂直部に
 対して、L字の底部を90度より広角にした。
 これで、床の通電プレートと接点シューの圧着力が強くなる。
 走行テストの結果、照明の揺らぎと点滅が大幅に改善された。

 金属の経時的塑性変形で接点の圧着力が弱まったり、接触に不具合が生じ
 るような通電方法は構造設計の基本的な間違いだと言える。
 部品を複雑にした結果不安定要素が増すという、なんとも皮肉な結果をも
 たらしてしまった。

 次いで、テールランプの不具合の対処に取りかかった。

TOMIX のスユ10のテールライトユニットと座席床にセットされた状況を下に示した。



 点灯しない状況を調べる為には、テールライトユニットを座席床から外さなければならないが、上のセット状況から判るように、
 ライトステーは座席床と一体となったライトステーカバーに覆われている。一方、ライトユニットを後ろに引き抜こうとしても
 接点ステー(車種によっては座席)が邪魔して、このままでは取り外し不可能だった。
 このテールライトユニットの外し方などはどこにも書いていない(その理由は後で判明した)。
 そこで、照明基板部の上部カバーをマイナスドライバーを使ってこじ開けてみた(下の写真)。
 この状態では、座席床のステーカバーが邪魔してテールライトユニットを座席床から外す事ができない。
 外すにはテールライトステーと基板ボックスを分離しなければならない(外し方は下の写真で説明)。

   ライトステーが基板ボックスから分離
 されたので、LEDに覆い被さっていた
 ライトステーの中央太い基部に手を
 添えてライトステーを浮かし、照明基
 板部を横にスライドさせて座席床ユニ
 ットから取り外す。
 基板には、スペースを取る砲弾型赤色
 LED、整流ダイオード、抵抗が直列に配
 置され、床の通電板から集電する接点
 シューがハンダ付けされていた。
 単純な回路の構成だった。

 テールライトユニットの取付けはこの
 逆を行えばよい。
 注) 元々付いていた汚れた基板の撮影を失念していて、掲載写真は汚れを落として新品部品を換装した後の写真です。
    又、定電流ダイオード、整流ダイオードなど試験的に付け替えたりしましたので、写真のカットによってダイオードの種類
    が違って見えたりしますがご了承下さい。最終的な部品は後述します。以下同様です。 

 取り外した照明基板ボックス


 驚いたのは、基板全体がひどく汚れていて、+側の接点シューと基板とのハンダ付けが取れてブラブラしていた。
 これが点灯しない原因と思われたので、シューと、基板の部分の汚れを落としてハンダ付けをし直した。
 DC電源を接点シューに直接つけて点灯テストをしたがランプが点灯しなかった。
 原因追求と電材部品を買いに行く手間を考えれば、どっちにしても安い物だろうと判断してTOMIXに電話した。
 KATOのテールライトユニットが別売品として定価300円(税抜き)ということも頭にあった。

 TOMIXからの回答
 「最初から車両に組み込まれているテールライトユニットは単独部品として販売していない。メーカー修理扱いとなる。座席床と
 一緒にこちらに送ってほしい。修理金額は 3,500円(テールライテユニット/1個) + 送料 1,100円。合計 4,600円」ということだ
 った。当方負担の送料を加算すると修理代は 5,700円ということになる。
 前後二つのテールライトユニットが壊れたら・・・という重ねての質問に「修理代 7,000円、送料は 1,100円で済みます」と涼や
 かな女性社員の回答だった。新品の客車が一台買える金額である。一瞬我が耳を疑った。
 これは本来、KATO がそうであるように補修部品として単独に別売されるものではなかろうか。
 絶対に壊れない品質ならともかく、殆ど触ることの無いテールライトユニットが現実には汚れ、接点シューまで外れている。
 TOMIXのユーザー不在の商法に大いなる疑問を抱いた。
 そういうことならと、自分で修復することにした。修復の最終状況は以下の通り。 

 
● 元は赤色LED (10円位)が付いていたが、
  赤色テールライトステーがあるので白色高
  輝度LED (3.2V 20mA 100円)に替えた。
● 整流ダイオード ( 19円) 仕様にした。
● 1/2Wカーボン抵抗 ( 6.7円)を付けた。

 定電流ダイオード(電圧が低くても一定の明る
 さを保つ)も付けてみたが、ここは元通りの普
 通の整流ダイオードにした。
 部材代 約 126円 で完全修復できた。
 
 TOMIXに修理に出したら 5,700円も取られると
 ころだった。

 室内照明、テールライト関係に限って言えば、TOMIXの客車は二度と買いたくないという思いだった。


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