軍刀外装(2)0
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軍 刀 各 部 の 名 称

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新 軍 刀 の 原 型


陸・海軍の新軍刀は、兵庫鎖太刀、及び、鎌倉時代の太刀を模範とした


兵庫鎖太刀拵え


新 軍 刀 外 装 の 名 称

(九八式の例)





  ※1 九四式・海軍太刀型は2佩鐶 ※2 鉄・アルミ鞘の中に朴の木の「入れ子鞘」。
    九八式「略式外装」は木鞘皮覆い、略式佩鐶で責金・口金・石突無し。三式は猿手・責金省略。

  注) 佩鐶=太刀拵え「足金物 + 帯取金物」 (慣用呼称は吊鐶 (ちょうかん)という 、口金=打刀拵え「鯉口(こいぐち)」、 兜金=打刀拵
    え、「頭(かしら)」、 石突=打刀拵え「鐺(こじり)」、 服制令や教本説明図にはサーベルや太刀型新軍刀でも「鯉口」・「鐺」
    等の打刀拵えの名称が記載されていて混乱している。弊サイトは太刀の呼称に準じた。

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軍 刀 柄

(九八式及び太刀型の例)

           



海軍刀柄巻鮫皮は黒漆塗


 柄木は、刀身の茎(なかご)の形状に刳(く)り抜かれた2枚の朴(ほう)の木を続飯(そくい)で貼りあわせた物。
 柄木の補強と柄糸及び握り手の滑り止めの為、鮫皮が柄木全体に巻いてある。
 略式〜後期型外装では、鮫皮が柄木の側面にしか貼られていない物がある。

        鮫皮: 粒の大きい物・親粒付きが上等品。陸軍刀は生地のまま、海軍刀は黒漆を掛ける
        経木: 薄皮状の木。鮫着柄の上下と柄糸の巻き始めに貼る。柄糸巻の割振り(菱割)を印す
        目釘: 竹製。刀身の茎穴と柄の目釘穴を合わせてから差し込み、刀身と柄を固定する

 美観に優れた古来伝承の柄は、実戦で脆弱性を露呈した。柄を構成する部材(朴の木、鮫皮、竹の目釘、柄糸、接着材の続飯)は、
 日本刀々身茎(なかご=中心とも書き柄の中に収まる刀身部分)の一般的短さが、柄に大きな力学上の負担を掛けて、使用時の衝撃と水分による損傷が頻発した。これが三式軍刀に於ける柄(目釘の追加、柄糸巻変更・漆塗補強、長い刀身茎)の改変に繋がった。
 士官軍刀を実戦に使うなら、九五式軍刀の様な金属製の柄・目釘と刀身茎の長さが必要である。
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柄 糸 巻

         陸軍刀: 諸捻巻(もろひねりまき)          海軍刀: 諸捻巻と平巻(ひらまき)が混在


   九四・九八式:諸捻巻が標準


     
      太刀型:平巻(海軍刀は平巻が多い) 
      



    九八式:一貫巻(希少)  
        
            三式:一貫巻(漆塗)が標準
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鍔 と 切 羽

軍刀外装の品位は、陸・海軍刀共に、切羽の種類と枚数(陸軍刀は加えて透かし鍔)で決まる。太刀を模した陸・海軍士官新軍刀(九四・九八式・太刀型)の切羽の種類は、太刀の拵えに倣って、大切羽・小切羽三種(菊刻み・縦刻み・小刻み)の計四種八枚が正式。
九四・九八式陸軍刀及び太刀型海軍刀の初期・一等外装の丁寧な拵えはこの基本通りになっている。二〜三等・略式外装、中〜後期製作外装及び三式外装では切羽の種類と枚数が省略されている。



              陸軍刀                         海軍刀


   上段左右:立ち葵大切羽
 上段中央鍔
 上段左右大切羽 

 下段三種小切羽
 中央より左右に
 菊刻(菊座)
 縦刻(タテシノ)
 小刻

  (材質:黄銅)

    上段左右:旭日大切羽





 小切羽三種
 上から 小刻み・タテシノ・菊座
 鍔と切羽の裏には通し(同一)bェ打刻されている。
 希に打刻無しのセット物がある




切羽裏の共通m処(例: 2737)








 小切羽の「縦刻み=タテシノ」は外装品位に大きな影響を与える


 
鍔・切羽細部 Details of a guard and washers


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刀 身 の 名 称







 刀には「刀」と「太刀」の二種類がある。写真で手前に刀匠銘が切ってあるのが「太刀銘」。反対に切ってあるのが「銘」
 それぞれの銘の反対には製作日等が切られて「裏銘」という。


      
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太刀 と 刀


太 刀



      太刀: 刃を下に向けて、帶取り紐で腰に水平に吊る。これを「佩(は)く」と言う。
           馬上で太刀が抜き易い為である。一旦抜刀してから敵に斬りつけるという二段階の動作になる。
           軍刀の下げ方は太刀に準ずる。


太刀を佩き弓を執る騎馬武者 (絹に描かれた小森 素石(こもり そせき)の肉筆画)



・ 打 ち 刀




  打刀: 室町時代、徒歩戦に移行して、刃を上にして腰帯に差し、敵を抜きざまに切る事が出来る一段階の動作となった。
      この動作の方式から「打ち刀」という。
      腰帯に斜めに差して拵えが固定されるので、刀を抜き易くする為に、太刀に比べて刀身は短くなった。

 刀の表示には作法があり、上掲写真の置き方を普通とする。夫々手前に見えている側が「太刀・刀」の表になる。



2013年10月9日より(旧サイトより移転)

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