軍刀外装(4)0
English edition

外 装 金 具

金具の彫り・品質・色模様  | 軍刀 |  軍刀の変遷 |  鞘・駐爪・刀緒 |  金具細部
ページ内検索  金具と彫り | 金具品質 | 金具の色

用 語

小縁 (こべり): 金具の端の「縁取り部分」を指す
高彫 (たかぼり): 浮き彫り模様を指す。金具には、五弁の桜花を図案化した「桜花」と、桜の花と葉を一緒に図案化した「桜花・葉」
       の二種類の高彫模様が付く(九四式・太刀型)。三式は「桜花」と「葉」。
       高彫とは、本来、金工細工で模様を浮き上がらせるものだが、九八式・太刀型の兜金と石突金具は模様を打抜いた金
       属薄板が魚子地に張り付けてある。九四・九八式、三式、太刀型では模様が違う。
魚子地 (ななこじ): 金具表面を魚卵状に凹凸処理した地肌を指す(九四式・太刀型)。三式は梨地。

1

金 具 と 彫 り 模 様


      陸軍九四式・九八式軍刀                    海軍太刀型











兜 金




猿手の制式は「丸紐」となっているが、金属猿手が多い
鳩 目



猿 手






猿手の制式は「丸紐」となっているが、金属猿手が多い




目 貫







制式の鍔は黄銅に金鍍金。裁量巾があり各種の鍔がある





切 羽









 制式の大切羽は黒の旭日模様だが、各種の特注品がある




縁   鍔と切羽  口金








縁(柄袖)



 
口 金




 縁  鍔と切羽  口金








佩 鐶









柏葉









責 金






桜花葉







石 突








陸 軍 三 式 軍 刀

 昭和18年、戦線に於ける九八式軍刀の戦訓を取り入れて、堅牢性と実用性を重視して制定された「戦時軍刀」の外装金具。
 その背景には、戦況の悪化があり、物資の節約、生産の簡略化を図る必要があった。
 金具材質は鉄に変更され、黒の塗装が掛けられた。




  
                           防塵二分割口金
                    

        防塵二分割口金
  


2


金 具 品 質


九四・九八式
    兜金・縁・口金・佩鐶・責金・石突
      材質は黄銅(真鍮)。製作会社や製作時期に依って品質・形状が異なる。
      初期型: 高品質金型による肉厚鋳物金具。防塵2分割口金もある。
      中期型: 大量生産の必要から、肉薄鋳物金具に移行を始めた※1
      後期型: 物資不足から真鍮薄板プレスの打抜金具となる。簡略佩鐶、鞘金具を省略した革覆い木鞘が登場する※2
     透かし鍔:(初期型・将官用)真鍮鋳物製。型打鍔に比べて重厚・華麗。
      型打鍔: (中〜後期型)真鍮製。 製作会社と時期によって品質・形状が異なる。
三式
    兜金・縁・口金・佩鐶・石突
      材質は鉄鋳物製。製作会社で形状が微妙に異なる。末期は鉄板の打ち抜き製金具となる。
    鍔: 鉄鋳物製。
  
太刀型
    兜金・縁・口金・第一〜第二佩鐶・責金・石突
      材質は黄銅。陸軍に比べて制作数が絶対的に少なく、製作会社も限られていた。
      陸戦隊や大戦末期の例外を除いて、陸軍刀程の品質・形状の落差がない。
    鍔: 黄銅(真鍮)鋳物製(黄銅の組成成分に未融合異物多数あり)。
共通
    猿手 紐製: 茶褐色の革、絹糸又は綿糸丸打ち製。
       鋳物製: 桜花葉高彫りの精度・取付部のL型加工法で上等品と並品がある。材質は真鍮。形状・模様は千差万別。
           三式の標準には付かない。
       挽物丸棒製: 材質は鉄又は真鍮。略式〜後期型に装着された。品位劣。
    目貫: 黄銅薄板打抜製:陸刀三連桜花・海刀丸囲い三連桜花共、製作会社により大きさ・厚み・桜模様が異なる※3

     ※1 初期〜後期型の識別は大凡の目安であって、時間軸では各々かなり輻輳(ふくそう)して移行している。
     ※2
略式外装の革覆い木鞘は、金属物資の欠乏が最大要因。 ※3 打抜精度が悪く、目貫の外周がズレて打抜かれた物がかなり有る。

 九八式: 金具の品質と肉厚は、「丸紐猿手」、「口金」と「石突」のネジ止め、金属猿手の断面形状が一つの判断材料となる。
     肉厚鋳物製:マイナスネジ止め(ネジは当時の規格、現JISと違う)。
     肉薄鋳物製・黄銅薄板打抜製: 圧入接着。
 三式: 金具製作会社によって形状・模様が異なるが、末期品を除き、金具品質は九八式程の落差は無い。


品 質 の 目 安


 下記の識別点が、高品質金具の大凡の目安となる。


丸紐猿手     親粒付き鮫皮



  金属猿手 Metal knot loop
  高級    並   略式(丸棒)
 
口金のネジ止め
  
  石突きのネジ止め  




    初期透かし鍔     中期鍔      中期鍔     末期鍔       三式鍔      海軍・太刀型鍔


 規定通りの丸紐猿手が付いた外装は、比較的初期品に多く、金具品質も槪ね良好である。
 金属猿手でも、上記の断面を持つ高級猿手を使った物も同様である。
 親粒付き高級鮫皮が柄に巻いてある外装も、槪ね良好な金具を使用していることが多い。

 鍔に就て
 左四種は九四・九八式鍔。左から右に品質は低下した。他の金具品質は槪ね鍔の品質に比例する。
 陸軍三式と海軍の鍔は、品質の差がほとんど無い。

3

金 具 の 色

九四・八式
   
兜金・縁・口金・佩鐶・責金・石突
     制式規定: 黄銅に銅鍍金を施し、金色小縁とする。但し、士官用軍刀は私物である為、佩用者の好み、製作会社の裁量巾
          に依ってかなりのバリエーションが造られた。
          金具の調色には、現実的には以下の三種がある。
          @ 銅メッキ(制式規定) 褐色
          A 煮色上げ(化学処理) 褐色〜赤褐色、黒
          B 塗装 褐色〜赤褐色、後期型打抜金具は淡い弁殻色や薄茶塗装
          小縁と佩鐶の蕾・八重桜花の縁はアマルガム法による金差し。             ※ 外装補修の項参照 
          特注: 桜花葉に小縁同様に金を差した物がある。

    鍔 黄銅に金鍍金(制式規定)
      透かし鍔: 規定以外に、煮色上げ又は褐色〜赤褐色塗装、切羽台は金。
      型打鍔:瀬戸鍍金(艶消金)、外周(耳)と桜花はヘラによる光沢金仕上。末期は黄銅素地のままの物がある。

    立葵型大切羽: 紅殻色〜赤茶色塗装又は色上げ。末期は黄銅素地もある。

   特注装具: 鍔・金具の全面に「銀」鍍金し、表面を「黒色上げ」した物や、金具全面金差しの物もある(下記参照)。      

三式
   金具 鍔: 黒塗装。末期金具には真鍮プレス金具で無塗装もある。
  
太刀型
   兜金・縁・口金・第一〜第二佩鐶・責金・石突
    金具: 瀬戸鍍金(魚子地は艶消し金、小縁と桜花・桜花葉はヘラによる光沢金仕上げ)、又は金鍍金。
    鍔: 煮色上げ(しゃくどう=暗青黒色)。又は赤銅(しゃくどう)鍍金。
    旭日模様楕円型大切羽: 標準は、赤銅鍍金又は色上げ。
                特注: 旭日を金と茶色の二色に仕上げした物(色分け・下記参照)や、茶色塗装もある。
                旭日模様打ち抜きで、外形が楕円ではないものもある。(太刀型軍刀の項参照)   
 
共 通
    小切羽 菊座: 煮色上げ(しゃくどう=暗青黒色)、又は、赤銅鍍金が標準。茶塗装もある。
        縦刻み: 金鍍金。
        小刻み: 銀鍍金。
     目貫 九八式・太刀型は金差し。三式は黒塗装。
     猿手 鋳物製: 全面金差し。並品には黄銅素地の物もある。上等品・並品の中には褐色塗装や色上げを施し、桜花葉に金
             を指した二色仕上げした物がある。
        挽物丸棒製: 褐色色上げ又は塗装又は素地。三式は後期の一部を除き猿手無し。





               銅鍍金         赤褐色塗装          黒染色 


      

            金鍍金        褐色塗装        黒染色       瀬戸鍍金




                 素地     朱色塗装     赤銅鍍金   二色々分け         ※ 金鍍金と塗装


        
            
             全面金差し金具                    三式金具は黒塗装


金具細部



   2013年10月21日より 無料カウンター 直接ご訪問(経由を含まず)
ページのトップへ

← 鞘、駐爪、刀緒   軍刀   軍刀につ いて   九四式軍刀
士官軍刀制定 
English edition