軍刀の考察 偽物軍刀に注意(2) 0

偽 物 九 五 式 軍 刀 の 考 察

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 Yahoo!軍刀オークションにて、偽物九五式軍刀を騙されて購入された方が、被害を防ぐ為に、同じ軍刀オークションに「偽物啓蒙」のページを掲載され、併せて偽物の細部写真をブログで公開されています。是非ご確認下さい。


「eBay」に出展された偽物九五式軍刀。柄は無塗装、希に塗装された物もある。最近国内では柄と鞘に塗装を始めたようです


 弊サイトも、偽物九五式軍刀の実例写真で、実物との顕著な相違点を指摘しておりましたが、それでも偽物に入札される方々が後
を絶たない現実がありました。
 掲載効果は少なく、逆に、偽物業者・出展者に「悪知恵」を与えて、偽物が巧妙になる怖れが生じた為に止むを得ず掲載を中止し
た経緯があります。この偽物九五式軍刀の被害は、「eBay」等を通じて全世界に広がっています。

 こうした状況に鑑み、再度所見を掲載します。
 但し、偽物出展者や製造業者にヒントを与えて彼等を利するような具体的指摘は避けます事を予めご了承下さい。
 

偽物九五式軍刀の出現は「柄」の複製が鍵となった

 鋳造製品は鋳物型(鋳型)から造られます。鋳型は大量生産用の金型(材質は鉄、アルミ)と少量生産用の砂型(材質は砂、石膏、粘
土、樹脂など)があります。
 砂型は古来からある鋳造物(銅製仏像など)製造の原点となった手法です。
 九五式の柄は、当時、鋳型の耐久性と精度から金型が使われた筈です。柄の原型を作り、それを基にフライス盤で反転彫りを行い、最終的に熟練金型職人が手作業で緻密な金型仕上げをしました。
 柄を鋳出すには、左右の割り型と柄の中を中空にする入れ子型の最低3型が必要です。
 現代の金型製作は、3Dソリッド又はワイヤフレームでコンピュータ上に「グラフィックモデル=製品」を作り、この数値データを精密NC(数値制御=ニューメリック・コントロール)工作機に渡して自動で金型を造ります。この流れをCAD/CAMと言います。
 但し、最終的には金型職人の手で研磨・調整仕上げされます。日本人の職人芸は他国の追随を許しません。
 日本の金型技術は世界のトップレベルです。欧米の自動車メーカー等も採用しています。 

 数年前、里帰りした本物の九五式外装から「九五式軍刀の複製を作る」とHPに予告していた日本の会社がありました。
 ご記憶の方もおられると思います。現在、そのHPは姿を消しています。
 九五式の「偽物柄」を本格的に造ると、金型製作費は最低1,000万円以上は掛かります。投資が高過ぎます。
 
 偽九五式の柄は簡略鋳型の「砂型」を使用していると推測しています。 
 「砂型」の身近な例は、歯科医院での歯型取りがあります。その時の鋳型材は速乾性樹脂が使われます。
 砂型は、原型(本物の柄)の全面に型材を塗付けて凝固させる事で簡単に鋳型が作れます。
 原型を作る手間も高価な金型製造コストも掛かりません。
 只、使用型材に依って一つの鋳型から1〜複数個の鋳造物=製品しか取れません。
 掛かる製造コストは型材と製品となる溶融材(アルミ合金)に作業費です。極めて安易で安価な方法です。
 多くの製品を作る為には、原始的ですが、幾つもの鋳型を現物(本物の柄)から起こせば良い訳です。
 この「砂型=現物から直接雌型を造る」の欠点は精緻な模様・形状の再現が困難で、製品凹凸の縁が甘くなる事です。
 本来、鋭いエッジにラウンドが付いて「形状崩れのボケた製品」となります。
 従って、偽物の柄は、遠目で見ますと本物のように見えますが、拡大細部写真を見ますと「砂型」から造られた複製品の典型的な
特徴を明確に表しています。

 ともあれ、この偽物柄の製造体制の確立が、偽物九五式軍刀が蔓(は)びこる引き金になった事は間違い無いでしょう。
 この製造を指導したのは、先述した複製九五式を予告した日本の会社、又は個人ではないかと推察しています。
 製造は、材料コストと人件費の関係からチャイナで生産しているものと思われます。
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偽 物 九 五 式 軍 刀 の 所 見


 @ 柄のみ共通です。刀身と鍔を初めとする金具には二つ以上のバリエーションがあります。本物の柄は造兵廠=民間刀剣会社に
    依ってデザイン細部が異なりますが、世界に流通している偽物柄は全てワンパターンです。
    原型を一種類しか持っていない為でしょう。柄のエッジ・模様は形状崩れの粗雑な出来です。
 A 形式は初期型のみ。生産数の多い中期型は見かけません。中期型の鉄製鍔・切羽は形状が簡単ですが鉄材の溶融点が高
    温で「砂型」での複製はかなり困難です。それに代わる型打ち用大設備は準備出来ない為でしょう。  
 B 葵型鍔は実物から「砂型」で造った物と、そうでない物の二種が混在します。外周(耳)の断面に相違があります。
 C これらの事から、手間と金の掛かる「柄」を一ヶ所で製造。複数の偽物業者に柄だけ(又は柄と鍔)を供給して、各々の業者が
   独自に偽物を造っている可能性があります。柄と比べて他の金具の品質・形状格差が大き過ぎます。
   偽物一式の大陸での製造原価は日本円換算で\1,000円以下ではないでしょうか。

何故偽物は九五式軍刀が多いか

 士官用太刀型軍刀は、鮫皮や柄糸巻きに専門職人が必要です。精緻な模様の入った金具点数が多すぎる等で、手間と製造コスト面
から採算が取り難い。その点で、九五式軍刀は柄さえあれば低コストで造り易い為です。
 プレスで作られた三十二年式の護拳と背金も同様ですが木柄が必要で、九五式より少し難しいと思われます。
 実物の背金と縁は鋳物製です。偽物は背金・縁もプレス品です。
 最近は九八式、海軍太刀型もリニューアルした偽物がeBay他のオークションに出るようになりました。
 以前に比べて品質が上がってきていますからご注意下さい。

国内に九五式軍刀・三十二年式軍刀は原則的に存在しない

 士官軍刀は「私物」 ですから、家に形見として軍刀を残して征った士官(海軍)、終戦で自宅に軍刀を持ち帰った将校は確かにいます。
 然し、戦後の厳しいGHQの刀狩りでそれらの殆どは接収されました。

 九五式軍刀は「官給品」です。官給下士官刀(九五式・三十二年式)は武装解除で全て接収されました。
 「官給品」を自宅に隠匿すれば「国家財産」の横領です。当時の状況からは難しい話しです。
 接収された此等の軍刀は俗称「赤羽倉庫」に集積され、廃棄処分又は戦利品として連合国に持ち去られました。
 基本的に官給軍刀は国内には存在しません。官給下士官刀が民家から次々に出てくる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

本物と偽物の見分け方

 本物と比べて、偽物は十数ヶ所の顕著な相違点がありますが、只一点だけでも簡単に識別できます。
 三十二年式も同様です。そのポイントをここで明らかに出来ないもどかしさがあります。何卒ご賢察下さい。

 出展者には細部拡大写真を要求して下さい。そして弊サイトの細部と比較して下さい。
 偽九五式と三十二年式は、刀身と鞘(口金のみ違う)が同じ物を使っている物を良く見かけます。
 偽の三十二年式は木柄と護拳・背金の終端形状処理が全く稚拙です。緻密なプレス技術が無いのでしょう。

 実物の背金は分厚い鋳物製です。駐爪部分も全く違います。茎終端はボルトです。背金終端の蟹目ナットで柄に固定されています。
 刀身にも着目して下さい。
 これ以上の識別ポイントは偽物業者を利する事になりますので差し控えます。
 どうか弊ホームページの三十二年式細部の1〜4をご覧下さい。




実物九五式細部      実物三十二年式細部


eBayの偽物





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