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區 分 | 地 鉄 | 硬・軟組織組合 | 所用日数 | 松炭消費量 | 鍛錬回数 |
機械力鍛錬 |
純鉄機械卸し 炭素量3.6〜4% |
マクリ又は甲伏 | 3 | 64〜72s | 15 |
臂力鍛錬 |
玉鋼・包丁鉄又 は純鉄手卸し |
本三枚 | 4.5 |
112〜124s |
8〜13 |
マクリ又は甲伏 | 4 |
94〜107s |
番 號 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
||
鍛 錬 |
臂 力 |
機 械 力 | ||||||
地 鉄
|
刃 鋼 | 玉
鋼 (上中下) |
玉鋼 (中竹) |
水素還元鉄 手卸し |
水素還元鉄 機会卸し |
|||
心 鉄 | 包丁鉄 | 同上 | 水素還元鉄にそ の卸し鉄を混ず |
機械卸し鉄に 電解鉄を混ず |
||||
鍛 錬 法 | 十 文 字 鍛 |
|||||||
鍛錬回数 |
刃 鋼 | 9 |
9 |
8 |
9 |
15 |
11 |
|
心 鉄 | 1 |
1 |
5 |
5 |
15 |
15 |
||
鍛 錬 組 合 |
マ ク リ |
|||||||
鍛 錬 回 数 と 炭 素 分 析 |
刃 鋼 |
3回 |
0.765% | 0.867% | 0.707% | 0.750% | 1.346% | 0.864% |
6回 | 0.662% | 0.637% | 0.703% | 0.051% | 1.116% | |||
9回 | 0.515% | 0.619% | 0.550% | 1.080% | 0.770% | |||
12回 | ー |
ー |
ー |
ー |
0.910% | |||
15回 | 0.500% | |||||||
焼入前 | 0.025% | 0.511% | 0.430% | 0.530% | 0.683% | 0.770% | ||
心鉄 |
組合前 | 0.050% | 0.050% | 0.200% | 0.200% | 0.180% | 0.180% | |
備考 |
焼入前の分析は鉋鋤の削り屑とす マクリの皮鋼と刃鋼は同一とす |
番 號 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
||
鍛 錬 |
臂 力 |
機 械 力 | ||||||
地 鉄
|
刃 鋼 | 玉鋼(上中下)に 電解鉄を混ず |
電解鉄手卸し |
電解鉄機会卸し |
||||
心 鉄 | 包丁鉄に電解鉄 を混ず |
電解鉄 |
電解鉄 |
|||||
鍛 錬 法 | 捩り鉄と一文字鍛 | 一 文 字 鍛 | ||||||
鍛錬回数 |
刃 鋼 | 13 |
13 |
12 |
13 |
15 |
15 |
|
心 鉄 | 6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
||
鍛 錬 組 合 |
甲 伏 | |||||||
鍛 錬 回 数 と 炭 素 分 析 |
刃 鋼 |
3
回 |
0.792% | 0.830% | 0.890% | 0.870% | 1.400% | 1.400% |
6 回 | 0.750% | 0.810% | 0.800% | 0.800% | 1.280% | 1.280% | ||
9回 | 0.790% | 0.700% | 0.860% | 0.740% | 1.090% | 1.090% | ||
12回 | 0.720% | 0.720% | 0.720% | 0.680% | 1.090% | 1.090% | ||
15回 | 1.100% | 1.100% | ||||||
焼入前 | 0.713% | 0.720% | 0.750% | 0.530% | 0.890% | 0.890% | ||
心鉄 |
組合前 | 0.134% | 0.134% | 0.030% | 0.030% | 0.030% | 0.030% | |
備考 |
焼入前の分析は鉋鋤の削り屑とす 5號と6號の地鉄は同時鍛錬とせるものなり |
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各刀匠は機械力鍛錬は今回を以て嚆矢( こうし=物事の初め)とするが故に空気 槌及送風機には不慣にして、加ふるに白銑の部分を混ずる等玉鋼鍛錬とは大 いに趣を異にするにも拘らず上記の成績を得たるは機械力鍛錬の能率良好な ることを示すものなり。 本研究試験に於ては玉鋼、包丁鉄の機械鍛錬は実施しあらざるも本試験の結 果より考ふれば可能なるものと信ぜられ、上記の表より更に能率増進するも のと思考す。 筆者注 最良切味の小山信光の玉鋼刀は唯一刃鋼に包丁鉄を混入しているが最も炭素 含有量が高い。 落下試験では最も脆弱な刀となった。 能く切れる刀が強靱な刀とは言えない例である。 小山信光、守次則定の二人は、昭和16年新作日本刀展覧会に於て、最高位の 「鍛刀總匠」を受賞した刀匠である。 ところが、この二人が造った刀は、次ページの墜撃試験で最も脆弱な刀だっ た。 展覧会の評価は当然に外観(地肌や刃文) である。 外観と性能は全く無関係と言える。 従来の外観に依る刀の性能評価が如何に無意味であるかを示している。 性能の良い刀は概ね外観も良いとする小倉造兵廠の所見には大きな矛盾があ る。 成瀬関次氏の「少し眠い感じの地肌・刃文の刀が良い」との指摘は論理的に も当を得ている。 研究者の美術刀への思いが間違った見解となって随所に現れている。 極めて残念な点である。 |
第25図玉鋼 (3回折返し鍛錬) → 白; フェライト 黒: パーライト 第26図水素還元鉄手卸し (3回折返し鍛錬) → 白; フェライト 黒: パーライト |
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刀 匠 名 | 地 鉄 | 品質 | 員数 | 摘 要 |
紀 政次 |
玉鋼、包丁鉄 | 2 | 東京九段日本刀鍛錬会 及 廣島市帝國製鐵株式会社製 東京芝浦電気株式会社製 2本は手卸し、2本は機械卸し |
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水素還元鉄 | 純鉄 | 4 |
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小山 信光 |
玉鋼、包丁鉄 | 2 |
秋田市秋田製鋼所製 2本は手卸し、2本は機械卸し |
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水素還元鉄 | 純鉄 | 2 |
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守次 則定 | 玉鋼、包丁鉄 | 2 |
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