日本刀損傷の原因 | 軍刀について | 日本刀の常識を問う | 軍刀身の研究 | 満鉄刀の全貌 | 軍刀論 | 素延べ刀 |
斯くて炭素量0.87%に達し、共折鋼となればセメンタイトは消失しパーライトのみとなる。 更に折返し鍛錬を継続すればフェライト析出し来り亜共折鋼となる。 フェライトは柔軟にして靱性を賦与す。 然るに、玉鋼は局部的に炭素量不同あるを以て一部は亜共折鋼となるも、他の部に共折鋼又 は過共折鋼を混ずることあり。 故に、日本刀の皮鋼又は刃鋼として最適度なる平均炭素量は、共折鋼より若干炭素量の低下 せるものたらざるべからず。 然るに余りに多くのフェライト析出するときは靱性あれども湾曲し易く、実用上不適当な り。 又、組織中に局部的に最も炭素量高き処も絶対に共折鋼を超過せざることを必要条件とす。 |
第2図 試料甲の横断面のマクロ組織 X300 腐食液:硝酸1%アルコール溶液 (以下同じ) 第3図 マルテンサイト中に析出したる球状セメンタイト、地はマルテンサイ ト、白きはセメンタイト 第4図 皮鋼中に析出したる網状及球状セメンタイト、地はパーライト、白き線 は網状セメンタイト、白きは球状セメンタイト 第5図 焼刃の焼鈍組織、異状組織を呈すれども過共折鋼、焼鈍温度は860℃ 炉中放冷 |
注:試料乙は小山信光の電解鉄・人力鍛錬刀。墜撃高15pで破損 している為にグラフに現れない 試料甲、丙、丁の刀は前ページ第3報第36図に現れない新たな試験 刀成績曲線の見方説明は前ページ参照 |
注: 白い部分はマルテンサイト、 黒い部分はパーライト |
|
※ 皮鋼全体にマルテンサイトが析出 して平打試験で墜撃高僅か15pで 刀身は破損した 注: 焼鈍温度1,050℃ 炉中放冷 |
注: 心鉄中の黒部分は高炭素 のマルテンサイトが析出、 白い部分は低炭素の鍛錬 度を示す |
※ 平打試験で墜撃高25pで 刀身は破損した。 注: 黒部分は炭素量過多の マルテンサイトが析出、 白い部分は炭素量適度を示す |
注: 皮鋼と心鉄の鍛着面に 大きな非鉄金属介在物 |
注: 黒焼刃の焼鈍し組織 焼鈍し温度 860℃ 炉中放冷 |
← 第三報の2 将校用軍刀目次 ホーム 軍刀 | 第五報 → |