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鉄(錬鉄・鍛鉄 ) |
鋼 |
銑(鋳鉄・銑鉄) |
|
.炭素含有量 |
0.02% 以下(Wrought iron) | 0.02〜2.1%
(Steel) |
2.1%
以上(Pig iron) |
.硬 度 |
軟らかい | 中間の硬さ | 硬い |
.融 点 |
1,530℃ | 1,400℃ | 1,200℃ |
.展延性・(性質) |
大(粘りがある) | 中間(適度な粘り) | 小(脆い) |
褐 鉄 鉱 (リモナイト) 左の写真は、小川の底や水辺に体積した土状の褐鉄鉱。日本でも至る 所に体積している。特に阿蘇山周辺に大量に産出する。 卑弥呼の邪馬台国を常に脅かした狗奴国の武力の源だったと目されて いる。考古学的には、北部九州が舶載鉄器に依存していた中で、早い 段階で、中部九州から舶載鉄器が姿を消した。 狗奴国がリモナイト製錬を始めたという見方がある。 |
紀元前15世紀のエジプトに於ける製錬図 地面を浅く掘るか、周囲に低い壁を立て 鉄原料を薪で燃やす 紀元前14世紀のエジプトに於ける精錬図 土器を使った一種の坩堝(るつぼ)製練 |
8〜9世紀頃と思われる堅型炉 (シャフト炉) (東京工大製鉄史研究会復元) 埼玉県児玉町金屋製鉄炉 茨城県八千代町遺跡など 同類の炉は関東に多い |
シルクロードやインドを通ってペルシャの技術が伝播したとみられている。 後の十八世紀に開発された西洋のパドル製鋼法と同じ原理の近代製鋼法を 2,000年前に実用化していた事実は驚異的だった。製鉄技術では、世界の最 先端を走っていたことになる。 前漢代の遺跡から、これを裏付ける精錬用の炒鋼炉、反射炉、坩堝の他、 直接法の海綿鉄炉が確認された。 小型竪炉に依る溶鉱も実現し、滲炭法も開発した。 又、薪・木炭を火力の強い石炭(無煙炭)に換えて、生産量を増大させた。 鍛鉄を灼熱して水中で急冷する焼入法(刃金技術)もこの時代に盛んに行わ れた。 生産効率が良い炒鋼法の実現に依り、鋳造鉄器に加え、鍛造鉄器の実用化 が図られた。特に刀剣・武器類への影響が大きかった。 |
国 | 産 地 | 鉄 分 | Fe | Fe2 | Si | As | Ca | Mg | Mn | P | S | Cu | TiO2 |
.南部朝鮮 | .江原道温井里砂鉄(磁選) | 69.92 | 28.45 | 68.35 | 0.66 | 0.39 | 無 | - | 0.30 | 0.087 | 0.018 | 0.010 | 0.85 |
.南部朝鮮 | .江原道柄谷砂鉄(手選) | 65.46 | 17.96 | 79.37 | 0.15 | - | - | - | 0.31 | 0.013 | 0.080 | 0.020 | 0.15 |
.南部朝鮮 | .全羅南道玉山里砂鉄(磁選) | 69.48 | 23.42 | 73.30 | 1.22 | 0.50 | 無 | 無 | 0.15 | 0.020 | 0.005 | 0.009 | 無 |
.日 本 | .島根県仁多郡第4号・真砂 | 67.10 | 28.14 | 64.67 | 3.28 | 0.50 | 1.18 | 0.87 | 0.91 | 0.016 | 0.046 | 0.046 | 2.61 |
.日 本 | .島根県仁多郡第3号・赤目 | 61.45 | 30.41 | 54.01 | 6.61 | 0.50 | 2.45 | 1.33 | 1.55 | 0.040 | 0.061 | 0.081 | 5.05 |
パドル製鋼法 |
得られた錬鉄を鍛造する代わりに、孔型ロールで圧延して、棒や帯などに形成する技 術も同じ頃に開発された。 二つ目は17世紀初め、木炭高炉を石炭高炉に転換する研究が開始された。 然し、石炭中の硫黄分で鉄が脆くなり、スラグの発生や、より強力な送風機の必要な どの障害に遭遇し、成功する迄に約一世紀を費した。 石炭の代わりにコークスを用いることで問題が解決されたのは18世紀の初頭である。 このコークス高炉法が普及し始めたのは1750年以降である。 日本では江戸中期頃にあたる。 |
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